Eurovision 2015 出場者を見よう! ~エストニア~

男女デュオが特別多いEurovision 2015の中でも
特別、素晴らしい作品を披露した国が2か国

そのうちの一つがエストニア代表

Elina Born & Stig Rästa - Goodbye to Yesterday


男女デュオは
歌唱の中で会話をすることが多いという性質上
どのジャンルでの歌唱よりもミュージカル調になるが

この二人の歌唱はもはやドラマである



歌詞

男性歌詞
オレは朝6時に目が覚め
重いまぶたと、だがはっきりとした思考
深い眠りについてるかのように呼吸をする

静かに着替え
施錠しようとする鍵が、震えて鈴のような音を鳴らし
外に出たオレは飼い犬に微笑みかけた

オレはキミを起こしたくなかった
オレの愛は満たされること無く
だからオレは荷物をまとめてキミのもとを離れたんだよ、お嬢さん

女性歌詞
どうしてアタシを起こしてくれなかったの?
そしたらアタシ、きっとあなたを引き止めていたわ
だから、もう一度「さようなら」からやり直しましょ
あの日々よ、さようならって

どうしてそういう風に考えるの?
ええ、確かにアタシたちケンカもたくさんしたわ
でも最後にはアタシたち、息を合わせられたじゃない

アタシは他の道なんて考えられない
だけど、アナタはアタシの元を離れ、アタシは一人ぽっちで取り残された
はだかんぼで横になって、ケータイとにらめっこ

歌詞解釈と解説
正直これの何をどう解説しろというのか
だって、もう答え全部そこに書いてあるじゃないかwww


でもそれじゃあ
このブログを選んできてくれる人に申し訳ないので

まずは歌詞だけ読んだ状態での解釈

(以下、男性、女性、という呼称で物語を見ていくこととする)

受取り方は人によって違ってはくると思うが
この曲の見方は大きく分けて2つ
男性に感情移入するか、それとも女性に感情移入するか
そのどちらかになると思う

おそらく、ほとんどの人は女性側に感情移入するだろう
男性側の視点は短いし
何より、感情のこもりまくってる女性側のセリフとは違い、
「こういうことを思っている」という心理描写がほとんどない

女性側の物語
女性視点の物語は、男性との思い出をとても美しいものとしてみている
(これを美化と判断するかは読み手次第)
彼女からすれば
ケンカすることも沢山あったが
二人の仲は良かったはずだし
確かなつながりを感じていたはずなのに
相手の男性が何も言わずに突然出て行ってしまったため
酷く動揺している、と言う内容になっている

女性から男性へ向けられた愛の深さ、強さは
直訳とはいえ、歌詞を読めば誰しも理解できるかと思うので、改めて言うほどではないかもしれないが
唐突に男性に出て行かれて、別れを言うタイミングさえも逃しているため
彼女の元に残っているのは後悔よりも、なぜ? どうして? の疑問ばかり
あまりにも急なことで、彼女も現実を直視できず
もしかしたら、彼から連絡が来るかも、と
携帯の画面を眺め続けてしまっているほど
そうした心理描写が、とても丁寧に描かれている

男性の物語
男性視点の物語は、かなり短くて単純
君の元にいても僕の心は満たされないから、さようなら
実に短い

しかし、短いながらも伏線だらけにもなっている
そこが、この曲の面白いところだが

男性の視点は、朝6時に起きるところから始まる
本当に早起きをしたのか、それとも一晩寝なかったのか
ともかく、まぶたが重いと思うほど眠たいながらも、しかし思考ははっきりしている

思考がはっきりしていると言うことは、これから行うことに対する意思が強いと言うこと
眠かろうが寒かろうが、とにかく目的を達成しようと言う意思があるから
二度寝(あるいは徹夜明けからの睡眠)に入ろうとしていない、と言うのが分かる

男性は女性を起こさないように、そっと着替えて家を出る
庭の犬に微笑みかけるのは
犬に吠えて欲しくない=気付かれないように出て行きたい
と言う心理描写を盛り込むと同時に
犬に吠えられない程度に仲がいい=その信頼関係を気付くだけの時間を過ごしている
と言うことがいえる
つまり、女性と共に過ごした期間の長さを、ここで暗示していると言うこと

にも関わらず、男性は女性の元から離れてしまう
女性の元にいただけでは、彼の心は満たされず
服を着て、外見的に温かい(幸せ)状態であるように装っても
その体は芯(心)から冷え切ってるから
暖まれる場所(別の女性)を求めて外に出る
と言う内容だと考察できる

二人の関係
さて、男性側の心理描写がほとんど書かれていないこの歌詞
一見すると、悪いのは男性のように見えるが
実はどっちもどっち
女性側にも問題があるということが、女性側視点の歌詞に秘められている

男性はなぜ女性の元を離れたのか
同2015年のドイツ代表Ann Sophie の Black Smoke で使ったのと逆の方法で読み解いていく
Black Smokeでは、主人公の女性から見た男性の行動と
男性の瞳に映る自分の姿(男性視点の暗示)、そして自分自身の気持ち、この三つを見事に使い分け
登場人物二人の物語を紡いでいた

今回の場合、ある意味で女性がBlack Smokeの男性の役を演じる形になっている
基本的に、女性の言っていることと逆の事が、男性の心理描写になっていると考えていいと思う

why didn’t you wake me up
どうしてアタシを起こしてくれなかったの?
I’m pretty sure i would have told you to stop
そしたらアタシ、きっとあなたを引き止めていたわ
→引き止めると分かっていたから起こさなかった

男性は今日この日、彼女の元を去ろう、と決心していた
もし、面と向かって「さよなら」を言おうとすると
女性が絶対に引きとめようとするのが分かっていたし
絶対に諦めてくれないから、何も言わずに家を出て行った

why would you think like that
どうしてそういう風に考えるの?
yeah we fight a lot but in the end
you and I we’re a perfect match
ええ、確かにアタシたちケンカもたくさんしたわ
でも最後にはアタシたち、息を合わせられたじゃない
→そう考えているのは女性だけ

ケンカをした後で、女性は仲直りした気になっているが
男性からしたら、ケンカの事がずっと心残りで、根に持っている可能性が高い
あるいは、女性特有の「いいから謝って!」の流れに毎回持っていかれたのかもしれない
この押しの強さ、我の強さの片鱗が、起こしてくれれば絶対に引き止めたのに、から読み取れるため
そう考えるのは自然だろうと思う
また、次に解説する部分ともリンクしている

I wouldn’t want it any other way
アタシは他の道なんて考えられない
→この頑固さと執着心の強さが、男性は苦手

男性は、女性にちゃんと愛されているのか分からない
女性は男性に執着しているようだが
その様子に、男性は愛を感じることが出来ないでいる
それは、男性が思う愛とは違うから
もしかしたら、男性が求めているのはお互いの事をちゃんと思いやる愛であって
一方的にぶつけられる愛ではないのかもしれない

ということで
女性を捨てた男性も男性だが
そうさせるだけの原因が女性の側にもあった
というように見れば、どちらにも感情移入できるし
どちらもより魅力的に見えるのではないだろうか


その他の部分
互いに関係が冷え切っていたことを分かった上で
男性は女性にもはやかける言葉もないから黙って出て行き
女性はいつかそうなると分かっていたけど、それでもこんな結末を望んでいなかったと言う考え方

男性は実は遊び人で、飄々と女性のもとを離れる
女性は実は自分のこれまでの行動を反省して
これから変わろう、 goodbye to yesterday 昨日までの自分にさようなら

……ちょっとメモ的に文章散漫になってるな
ただ、言いたいことは、考察の仕方によっていくらでも世界が広がるということと
ここまで書いているが、まだ歌唱を考慮した考察をしていないので

タイトルの意味とラストの携帯の画面
goodbye to yesterday は、直訳すると「さらば昨日までの日々」になるが
タイトルにもなっているこの言葉を、この曲の歌詞では複数の意味を持たせている
一つは、男性視点の goodbye to yesterday
当然、女性のもとを離れるときに言っている言葉だ
女性との日々を名残惜しむこともなく、実に前向きな言葉になっている

一つは女性視点でのgoodbye to yesterday
ここからが複雑だが
歌詞の中での「まだサヨナラも言えてないのに」にかかっているのであれば
男性が去ってしまって、一人ぼっちになってしまった家の中で
男性の影を見ながら「あのすばらしい日々よさようなら」と溢しているというように取れる

だが、ラストにかかってくるのであれば、意味が変わってくる
ラストの携帯電話のシーン
携帯の画面とにらめっこするのは
もしかしたら、彼がいなくなってしまったのは何かの間違いで
その内、連絡が来るのではないか
でも、本当はそんなこと絶対にありえないって知っている
知っているから、goodbye to yesterdayって言った(言いたかった)んだ
と言う流れ

Goodbye to yesterdayが言えなかったから
いつまでも携帯とにらめっこしてしまう、ということ


やはり説明が難しいので、楽曲単位での考察に移ろうと思う

MV考察
あまり書かないが
MVは全体的に、歌詞オンリーでの考察・解釈の内容が合致する部分が多い
そういった意味では、歌詞の世界をストレートに伝えようとしているのかもしれない

気になる点は
男性側の歌詞全部が、現在進行形で動いているのではなく
もう去ってしまった後、車の中で自分のやったことを振り返るような演出になっているということと
男性パートで二人の幸せだった日々がフラッシュバックするが
表情は見えず、絡ませる手だけが写されている部分

特に、手の描写は面白く
女性側に視点が切り替わった後
女性の記憶としてフラッシュバックする映像は
絡ませる指先よりも、むしろ男性の顔に焦点が当たっていることが多い

このフラッシュバックの違いだけで
男性が求めていた愛と
女性が与え続けていた愛との差が明確になっていると思う

また、男性パート2度目の時
男性がワインを飲みながらキッチンに腰を掛けている
その後ろで踊り続けている女性
ここでも、二人の性格の違い現れている

こうしてみると
MVは歌詞をかなりストレートに読んだ内容を
そのまま映像にしているような
非常に丁寧なつくりになっているのが分かるだろう


ライブパフォーマンス考察
ライブでの歌唱は、MV版とは大きく異なり
歌詞の意味合いもだいぶずれてくる

特別違うのは、男性の言葉の意味

前述のとおり
男性の歌詞パートは
歌詞だけを読んだ状態
MVでの演出
両方とも同じく
男性は出て行ってしまった後の物語になっている

なので、男性は女性を目の前にしていないので
暗い雰囲気はあるが、同時に、非常に落ち着いた歌唱をしている

ところが、ライブパフォーマンスだと

女性が登場するまで
はっはっはっ(゚∀゚)
してやったぜ!(゚∀゚)

と言わんばかりの明るい表情

背後から女性登場
あっ……
やっべー……
きちゃったよ……
と、一度は肩越しに女性を見るが
すぐに視線を逸らすというコリオグラフが入る

女性パート
ずっと男性のことを睨みながら
なんでアタシのことを置いていったの!
アタシたちずっとうまくやってきたじゃない!
と、今にも刺しそうな勢いと目力で語り掛ける

これに対する男性の返しが
極めて言い訳がましい喋り方になっている

ここが、MVとライブとの最大の違い

女性を目の前にして歌わざるを得ない状況であるためか
怒り、恨み、憎しみ、悲しみをぶつけてくる女性に対し
男性は完全に開き直っている

しかし、正直ライブ版の方がMVや歌詞オンリーで解釈した内容よりも面白い
MVの映像では、二人してすまして
どこか大人の恋愛模様の雰囲気を醸し出しているが

女性は涙を流し
男性はうすら笑いを浮かべながら
俺は悪くないと言わんばかりに言い訳をして
ライブ版は二人とも
完全に素の感情・性格をむき出しにしている

だから面白い

もしかしたら?
MVの物語のその後が
ライブパフォーマンスの可能性がある



日ごろ、歌唱は演技だ、歌詞は物語だと言ってはいるが
この曲、とりわけライブパフォーマンスにおいては
完全に一つのドラマシーンを見せられているように錯覚するし
もはやミュージカルパフォーマンスであると言っても過言ではない

特に、目による演技は他のどの代表もやっていない面白さがある

ステージングの
影を使った演出も
コリオというか、指先と視線を使った演技と
どれもセンスの塊

2015年代表の中でも
特別気に入っているライブパフォーマンスの一つだ


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公式歌詞
https://www.eurovision.tv/event/lyrics?event=2073&song=32763

Eurovision 公式HP
http://www.eurovision.tv/page/timeline

YouTube公式チャンネル
https://www.youtube.com/user/eurovision/featured

Wikipedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Eurovision_Song_Contest_2015



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