Eurovision 2018 イタリア代表 Fabrizio Moro & Ermal Meta の Non mi avete fatto niente 和訳・歌詞解釈と考察

お前たちは我々から、何も奪えず、何も得ることもない
お前たちの無益な戦争を、我々は乗り越えて先に進む 

五日間にも渡って繰り広げられるイタリア最大の歌唱祭、サンレモ音楽祭で優勝したのは
過去にもサンレモに出場したことのある歌手同士が組んだデュオ
Fabrizio Moro & Ermal Meta でした
優勝した楽曲『Non mi avete fatto niente』
勇ましさ、希望、悲しみ、憂い、怒り、それら全てが一つとなっているかのようですが
それもそのはず、そこには高いメッセージ性を秘めているのです

そして、MVを見れば言語が分からなくても一発で内容が分かりますが
気を付けなければならないのは、この曲が反戦を主題にしているわけではない、という事です
もちろん、反戦がテーマでもありますが、本当の意味は歌詞を書いたきっかけにありました
それでは、その内容を見ていきましょう

もくじ
歌詞和訳『Non mi avete fatto niente』
歌詞解釈と考察
 - Verse 1: Ermal Meta
 - Verse 2: Fabrizio Moro
 - Refrain: Ermal Meta
 - Verse 3: Fabrizio Moro
 - Verse 4: Ermal Meta
 - Verse 5: Ermal Meta & Fabrizio Moro
 - Outro: Fabrizio Moro & Ermal Meta
MV考察


サンレモ音楽祭でのパフォーマンス


公式MV

  
歌詞和訳『Non mi avete fatto niente』
Verse 1: Ermal Meta
A Il Cairo non lo sanno che ore sono adesso,
カイロでは今が何時なのか誰も分かっていない
il sole sulla Rambla oggi non è lo stesso.
今日のランブラの太陽はいつものように輝かない
In Francia c’è un concerto, la gente si diverte,
フランスでは人々がコンサートを楽しんでいる
qualcuno canta forte, qualcuno grida “a morte”.
誰かが大きな声で歌い、誰かが『死ね』と絶叫する

A Londra piove sempre, ma oggi non fa male.
ロンドンではいつも雨が降るが、今日は悪くはない
Il cielo non fa sconti, neanche a un funerale.
空は特別扱いを許さない、葬式だろうと
A Nizza il mare è rosso di fuochi e di vergogna,
ニースでは、海が恥辱の炎で赤く染まる
di gente sull’asfalto e sangue nella fogna.
人々はアスファルトの上に、血は下水道へ流れ

Verse 2: Fabrizio Moro
E questo corpo enorme che noi chiamiamo “Terra”,
そして我々が『テラ(地球)』と呼ぶこの巨大な体は
ferito nei suoi organi dall’Asia all’Inghilterra.
アジアからイングランドまでその臓器が傷つけている
Galassie di persone disperse nello spazio
銀河ほどの人々は宇宙に消え
ma quello più importante è lo spazio di un abbraccio.
だけど、大事なのは抱擁できる場所があること

Di madri senza figli, di figli senza padri,
子供たちをなくした母たち、父をなくした子供たち
di volti illuminati, come muri senza quadri.
光に照らされた顔、絵の飾られていない壁ように
Minuti di silenzio, spezzati da una voce:
いくばくかの沈黙、声によって壊される
“Non mi avete fatto niente”.
「お前は私に何もできなかった」

Refrain: Ermal Meta
Non mi avete fatto niente.
お前は私に何もできなかった
Non mi avete tolto niente.
お前は私から何も奪えなかった
Questa è la mia vita che va avanti
これは私の人生だ、このまま続く
oltre tutto, oltre la gente.
全ての向こうへ、人々の向こうへ

Non mi avete fatto niente.
お前は私に何もできなかった
Non avete avuto niente.
お前らは何も手に入れちゃいない
Perché tutto va oltre
全てを越えて先へと進むから
le vostre inutili guerre.
お前たちの無益な戦争を

Verse 3: Fabrizio Moro
C’è chi si fa la croce, chi prega sui tappeti,
十字を切る者いれば、絨毯の上で祈る者もいる
le chiese e le moschee, gli imam e tutti i preti,
教会とモスク、イマームと牧師
ingressi separati della stessa casa,
同じ家への入り口は分けられて
miliardi di persone che sperano in qualcosa.
幾億の人々が何かを望む

Verse 4: Ermal Meta
Braccia senza mani, facce senza nomi,
手のない腕 名のない顔
scambiamoci la pelle, in fondo siamo umani.
肌を交換しよう、本質的に我らは同じ人間
Perché la nostra vita non è un punto di vista
なぜなら我々の人生は端的に見ることができない
e non esiste bomba pacifista.
そして平和的爆弾など存在しない

Refrain: Fabrizio Moro
Non mi avete fatto niente.
お前は私に何もできなかった
Non mi avete tolto niente.
お前は私から何も奪えなかった
Questa è la mia vita che va avanti
これは私の人生だ、このまま続く
oltre tutto, oltre la gente.
全ての向こうへ、人々の向こうへ

Non mi avete fatto niente.
お前は私に何もできなかった
Non avete avuto niente.
お前らは何も手に入れちゃいない
Perché tutto va oltre
全てを越えて先へと進むから
le vostre inutili guerre,
お前たちの無益な戦争を
le vostre inutili guerre.
お前たちの無益な戦争を

Verse 5: Ermal Meta & Fabrizio Moro
Cadranno i grattacieli, le metropolitane,
摩天楼が倒れ、地下鉄も沈む
i muri di contrasto, alzati per il pane.
パンの為に作られた対照的な壁
Ma contro ogni terrore che ostacola il cammino
しかし、道を塞ぐテロに対抗するため
il mondo si rialza col sorriso di un bambino,
世界は子供の笑顔の為に立ち上がる
col sorriso di un bambino,
子供の笑顔の為に
col sorriso di un bambino.
子供の笑顔の為に

Refrain: Ermal Meta & Fabrizio Moro
Non mi avete fatto niente.
お前は私に何もできなかった
Non avete avuto niente.
お前らは何も手に入れちゃいない
Perché tutto va oltre
全てを越えて先へと進むから
le vostre inutili guerre.
お前たちの無益な戦争を

Non mi avete fatto niente.
お前は私に何もできなかった
Le vostre inutili guerre.
お前たちの無益な戦争で
Non mi avete tolto niente.
お前は私から何も奪えなかった
Le vostre inutili guerre
お前たちの無益な戦争で
Non mi avete fatto niente.
お前は私に何もできなかった
Le vostre inutili guerre.
お前たちの無益な戦争で
Non avete avuto niente.
お前らは何も手に入れちゃいない
Le vostre inutili guerre.
お前たちの無益な戦争で

Outro: Fabrizio Moro & Ermal Meta
Sono consapevole che tutto più non torna.
全てはもう戻ってこないと私は知っている
La felicità volava
幸せが飛んでいく
come vola via una bolla.
泡のように飛んでいく

歌詞参照元
https://eurovision.tv/participant/ermal-meta-fabrizio-moro
https://genius.com/13869389
http://wiwibloggs.com

  
歌詞解釈と考察
実際にあったテロ行為を想起させる歌詞がいくつもあることから分かるように
この曲は世界中で起きているテロリズムに反対するために作られた曲です
実際、Ermal Meta と Fabrizio Moro の二人はインタビューにおいても
2017年5月22日に英国マンチェスターで起きたアリアナ・グランデのコンサートでの
自爆テロ事件に影響を受けてこの曲を書いたとも言っています
https://www.pianetadonna.it(リンク先全文イタリア語

MVを見ると、あたかもこの曲は反戦ソングであるかのように見えてきますが
大前提として彼らが伝えたいのは反テロ行為なのだと思います
(もちろん、ひいては反戦も含んでいるのでしょうけども)
そして、この曲を通して伝えようとしているメッセージとは
例えテロによって攻撃をしようとも
傷つけられた人たちは必ず悲しみを乗り越え、必ず立ち上がって前に進む
テロ行為など全くの無益なものである、と訴える内容となっています
しかし一方で、歌詞のラストで歌われているように
それでも失ったものは決して戻って来はしない、とも歌っています

さて、この曲は先にも書いたように、実際に起きたテロが歌詞の中に書かれています
そのテロ事件の背景一つ一つを拾っていくことも大事ですが
とはいえ、あまり注釈が必要な曲というわけでもなく
反テロの精神を、書いてあるがままの状態でくみ取るのがベストな曲だと思います

実際に起きたどのテロ事件の事について歌っているのか、その参考元を拾っていきながら
この曲が伝えたいメッセージが一目で頭に入りやすいように
微調整レベルで小さな意訳は沢山いれているので
和訳でも書いてあるがまま読むことができるかとは思いますが
一部、分かりにくい表現があるので、そこを説明していこうと思います
  
Verse 1: Ermal Meta
A Il Cairo non lo sanno che ore sono adesso,
カイロでは今が何時なのか誰も分かっていない

2016年12月11日、エジプトの首都カイロにあるコプト派のキリスト教会で起きた
49人が負傷し、25人が死亡した爆弾投げ込み事件のことか
https://mainichi.jp/articles/20161212/k00/00m/030/035000c
2017年12月29日、同じくカイロのコプト教の教会で9名が殺害された銃撃事件か
http://www.afpbb.com/articles/-/3157067?pid=19666754

il sole sulla Rambla oggi non è lo stesso.
今日のランブラの太陽はいつものように輝かない

2017年10月17日、スペインのバルセロナで起きた、歩行者に車が突っ込む事件
100人以上が負傷し、13人が死亡
https://jp.reuters.com/article/spain-barcelona-victims-idJPKCN1AX26T
https://ja.wikipedia.org/wiki

In Francia c’è un concerto, la gente si diverte,
フランスでは人々がコンサートを楽しんでいる
qualcuno canta forte, qualcuno grida “a morte”.
誰かが大きな声で歌い、誰かが『死ね』と絶叫する

2015年11月13日にフランスのパリで起きた同時多発テロ事件
その中でも、89人もの犠牲者を出したバタクラン劇場での銃乱射事件
この事件はあまりにもショッキングだったので、私もすぐにピンときました
https://www.sankei.com/world/news/151116/wor1511160037-n1.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/

A Londra piove sempre, ma oggi non fa male.
ロンドンではいつも雨が降るが、今日は悪くはない

2017年3月22日、英国ロンドンの国会議事堂付近で起きた襲撃事件
5名が死亡し、40人が負傷
https://jp.reuters.com/article/britain-security-idJPKBN16T29N
https://www.huffingtonpost.jp/2017/03/22/lomdon-terror_n_15543282.html
https://ja.wikipedia.org/wiki

A Nizza il mare è rosso di fuochi e di vergogna,
ニースでは、海が恥辱の炎で赤く染まる

2016年7月14日、南フランスで起きたニーストラックテロ事件
84人が死亡し、202人が負傷
ここまでのテロ事件の中では断トツで有名ではないでしょうか
http://www.bbc.com/japanese/36813741
https://ja.wikipedia.org/wiki
  
Verse 2: Fabrizio Moro
テロ行為や戦争によって地球は傷ついている
銀河ほどの人々=幾千幾万もの人々が死んでいっているが
私たちに必要なのは争いではなく、抱擁し合う場所

家族を失った人たちは感情を失い、誰もが沈黙していたが
Non mi avete fatto niente (お前は私に何もできなかった)
その声で、沈黙が破られます
  
Refrain: Ermal Meta
ここの歌詞は、テロリストたちに対する反撃の言葉です
例え、どれだけテロを繰り返そうとも、どれだけの人が傷つき、悲しみに暮れようとも
必ずその悲しみを乗り越える
何が起きようとも人生は続く

テロ行為によって、テロリストたちは自分たちから何も奪うことはできないし
テロリストたちは何も得ることができない
あるのはただ無益な争い、無益な行為
自分たちは決して屈しない、という強いメッセージが込められています
  
Verse 3: Fabrizio Moro
ここでは、キリスト教とイスラム教の両方が出てきます
C'è chi si fa la croce 十字を切る者は、すなわちキリスト教徒を意味し
chi prega sui tappeti 絨毯の上で祈る者は、すなわちイスラム教徒を意味します
Le chiese e le moschee, gli imam e tutti i preti
教会とモスク、イマームと牧師、はそのまま
キリスト教会と、イスラム教のモスク
イスラム教の指導者であるイマームと
キリスト教の聖職者である牧師や神父

続く歌詞の「ngressi separati della stessa casa, 同じ家への入り口は分けられて」
いくつか解釈が分かれる部分ではありますが
キリスト教とイスラム教が、共通の起源を持つ宗教であるという事の暗示か
あるいは、宗教が違えど、祈りの場においては誰もが祈りをささげる者で
本質的には全く同じ人間である、という意味か
後者の方が続く歌詞に繋がるので、おそらくそう考えるのが一番自然かとは思います
  
Verse 4: Ermal Meta
先の「入り口は別でも建物は同じ」ことに繋がりますが
本質的にはみな同じ人間であり、肌の色なども関係がない、と歌っています
e non esiste bomba pacifista.
また、戦争をすることによって平和になることなどありはしないとも歌っています
  
Verse 5: Ermal Meta & Fabrizio Moro
Cadranno i grattacieli,
テロによって崩れる摩天楼と言えば誰もが連想するのは
2001年9月11日、アメリカで起きた同時多発テロ
ワールドトレードセンターに旅客機が衝突した、通称9.11テロ
https://ja.wikipedia.org/wiki/

le metropolitane
地下鉄で起きた爆破事件と言えば
2005年7月7日、英国で起きたロンドン同時爆破テロ
https://ja.wikipedia.org/wiki

i muri di contrasto, alzati per il pane.
パンの為に作られた壁? ここは正直意味がよく分からなかった
ただ、続く歌詞は子供たち笑顔の為にテロに立ち向かう姿が描写されており
テロリストが道を塞ぐのは、テロ被害にあった子供たちに
テロ被害にあった記憶がトラウマになっているからかもしれないです

そして、サビへと戻ります
  
Outro: Fabrizio Moro & Ermal Meta
サビで気丈に振る舞いますが
最後は本音を漏らしている、という描写にも見えますし
テロに被害に遭うことによって失ったもの、失った人は
決して戻ってくることはない、という現実を突きつけているようにも見えます

これで、この歌詞の内容が分かっていただけたかと思います

  
MV考察

さて、歌詞の内容は明確に反テロリズムを主題としていますが
MVを見ると反戦がメインテーマになっているように見えてきます
しかし、この映像をよく見ていると分かることが一つあって
この映像に出てくる兵器や兵士は全て米軍?
usarmyinnonmiavetefattoniente
Alekseev MV に出てくるレコードは特定できたのに
戦闘機やヘリの特定ができない無能でございますが
(たぶん分かる人はシルエットだけでどこの国のどんな兵器か分かる)

MVの中で出てくる空爆のような映像は、
Ac1301.jpg

おそらく米軍が持っているガンシップAC-130の攻撃で

アメリカ軍による誤爆も、明確なテロ行為である、としているのかもしれません
https://www.huffingtonpost.jp/2015/10/03/msf-bomb-_n_8236812.html
https://www.cnn.co.jp/usa/35082039.html

そう考えると
e non esiste bomba pacifista. (そして平和的爆弾など存在しない)
というこの歌詞は、単にテロリストによる自爆テロの事を指しているだけでなく
米軍の空爆を意味しているとも思えますし
そうなると、米軍の誤爆空爆によって犠牲になった人たちの叫びにも思えてきます
もっとも、それは考えすぎなのでしょうけど


Festival di Sanremo 2018 レビュー記事
http://sheilabirlings.blog33.fc2.com/blog-entry-5617.html

Eurovision 2018 もくじ記事
http://sheilabirlings.blog33.fc2.com/blog-entry-5521.html



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