Eurovision 2018 ポーランド代表 Gromee feat. Lukas Meijer の Light Me Up 和訳・歌詞解釈と考察

教えて欲しい、ボクがどこへ向かえばいいのか 
照らしてくれ、ボクの足元を、そし進むべき道を 

ポーランドのESC国内予選大会 Krajowe Eliminacje 2018 を勝ち抜いたのは
ポーランドのDJ/音楽プロデューサーである Gromee と、
スウェーデン人ボーカリストであるLukas Meijer のコンビでした
彼らの歌う楽曲『Light Me Up』は、とても今時のEDMらしい楽曲
シンプルで、覚えやすく、そして何より歌いやすい楽曲なので
ESC本戦では誰もがシングアロング(合唱)できる楽曲として
大いに会場を賑わすだろうと予想されるアップテンポな曲です

しかし、この曲は歌詞のシンプルさと相まって、あまり深く考えず
一聴すると頭を空っぽにしてビートに乗るだけの曲のように聞こえるものの
そこに込められたメッセージには、現代社会にはびこる問題を反映した
とても切実な想いを内包しています

それでは、今回はこの曲の歌詞を読んでいきましょう

もくじ
歌詞和訳『Light Me Up』
歌詞解釈と解説
 - Verse1
 - Pre-Chorus
 - Chorus ~ Pre-Drop ~ Drop
 - Verse2
もう一つの解釈
余談

公式MV


国内予選大会決勝


  
歌詞和訳『Light Me Up』
Verse 1
A part of me (a part of me)
ボクの一部
Is feeling weak (is feeling weak)
は弱さを感じている
I took a chance but now it feels so hard to breathe (hard to breathe)
ボクはチャンスを掴んだはずなのに、今は息をするのも辛い
A leap of faith (a leap of faith)
やるっきゃない
Now haunting me (now haunting me)
今ボクにつきまとい続ける
What happen to the words it's always you and me
言葉に起きている事、それはいつもキミとボクなんだ

Pre-Chorus
I wanna feel alive
ボクは生きてるって実感したい
When I'm running through my life
この人生を行き続ける上で
So help me to ignite
だから輝けるように助けてくれ
This spark I feel inside
ボクの中の閃光を
So help me now
誰か助けてくれ

Chorus
Light me up, light me up my babe
輝かせて、ボクを照らして
Light me up, tell me where to go
輝かせて、どこに向かえばいいのか教えてくれ
Light me up, light me up my babe
輝かせて、ボクを照らして
Light me up and tell me where to go-ohoh
輝かせて、どこに向かえばいいのか教えてくれ
Oooh-oh-oh, oooh-oh
Tell me where to go-ohoh
どこに向かえばいいのか教えてくれ
Oooh-oh-oh, oooh

Pre-Drop
And tell me where to go
そして、どこに向かえばいいのか教えてくれ

Drop
Tell me where to go
どこに向かえばいいのか教えてくれ
Tell me where to go-ohoh
どこに向かえばいいのか教えてくれ

Verse 2
I am fading now
ボクは消えようとしている
Of real life
現実世界から
Misguided by the way they say I have to live
ボクに生きろと言った人たちから見当違いの導き方をされて
So bring me back
だからボクを返して欲しい
Back to the place
元の場所に戻してくれ
Where my heart can finally reveal its face
ボクが本当に心を開ける場所へと

Pre-Chorus
I wanna feel alive
ボクは生きてるって実感したいんだ
When I'm running through my life
この人生を行き続ける上で
So help me to ignite
だから輝けるように助けてくれ
This spark I feel inside
ボクの中の閃光を
So help me now
誰か助けてくれ

Chorus
Light me up, light me up my babe
輝かせて、ボクを照らして
Light me up, tell me where to go
輝かせて、どこに向かえばいいのか教えてくれ
Light me up, light me up my babe
輝かせて、ボクを照らして
Light me up and tell me where to go-ohoh
輝かせて、どこに向かえばいいのか教えてくれ
Oooh-oh-oh, oooh-oh
Tell me where to go-ohoh
どこに向かえばいいのか教えてくれ
Oooh-oh-oh, oooh

Pre-Drop
And tell me where to go
そして、どこに向かえばいいのか教えてくれ

Drop
Tell me where to go
どこに向かえばいいのか教えてくれ
Tell me where to go-ohoh
どこに向かえばいいのか教えてくれ

Outro
Light me up, light me up my babe
輝かせて、ボクを照らして
Light me up, tell me where to go
輝かせて、どこに向かえばいいのか教えてくれ
Light me up, light me up my babe
輝かせて、ボクを照らして
Light me up and tell me where to go-ohoh
輝かせて、どこに向かえばいいのか教えてくれ

Ending
Oooh-oh-oh

歌詞参照元
https://genius.com/Gromee-light-me-up-lyrics

  
歌詞解釈と解説
使われている言葉は微妙に難しくはありますが
歌詞の内容は極めてシンプルで、書かれてある言葉数がそもそも少ないです曲です

同時に、この曲は歌詞に書かれてある内容の割りに、とても明るくノリの良い音楽です
歌詞の内容だけを見れば、そのままバラード調で歌わせてもしっくりきますし
現状を自分でどうにかするのではなく、誰かに助けて欲しいと叫んでしまうほど
悩み、苦しみ、葛藤しているということが分かるので、明るい歌であるとは言えません

では、なぜ明るい曲調で歌っているのかというと
考えられるのは、この曲がただ悲しみにくれるだけではなく
この歌詞に共感できる人を勇気付けるために、明るい曲にしているのだろうと思います
ありていに言えば『応援ソング』なのだろう、と言うことです

それから、この歌詞の中で特徴的な点として
歌詞の内容がかなり漠然としている、と言う点が挙げられます
主人公が何らかの挫折を味わい、現状をどうにかしようともがく姿は描かれていますが
特別、これから主人公が何をするのか、そのアクションは描かれていません
言ってしまえば、現状を変えてくれる人を待っているだけの歌詞です
しかし、その漠然とした状態が、まさしくこの曲の中ではとても重要な点となっています

というのが、この曲は複数の解釈をすることが出来る曲となっていて
歌詞がシンプルであるため、聞き手がそれぞれに持つ人生経験を歌詞に重ねて
聞き手が共感するようにこの曲を読む、という、まるで『鏡』のような曲なのです

それでは、その鏡に一体何が映っているのか
改めて歌詞の中身を見ていきましょう

  
Verse1
Verse1 の歌詞では、主人公は何らかのチャンスを手に入れながらも
自身の未熟さからそのチャンスを生かしきることが出来ず
逆に手に入れた状況に押しつぶされかけている、という状況が読み取れます
しかし一方で、「やるしかない」という自分を奮起させる言葉が頭から離れず
立ち上がるか否か、それは自分たちの判断に委ねられているとも歌っています

leap of faith
2017年のアイルランド代表Brendan Murray の Dying to Try の冒頭で
Take a leap of faith with me (一緒に思い切って前に出よう)
という歌詞でも登場する言葉ですが、Collins English Dictionary では
成功するかどうかの確証が得られていない状況でも
何らかの行動を起こす、つまり一か八かの賭けに出る、という意味があると書かれています
https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/leap-of-faith

続く歌詞は Now haunting me となっており
haunting は、同じく Collins English Dictionary だと
音や映像、もしくは言葉が頭の中に残り続ける
それがとても美しいか、悲しいために、とされています
「Haunted House = 幽霊屋敷」と訳されますが
厳密に言えば「(幽霊のような悲しい存在が)残り続けている家」ということですね
https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/haunting

ここでは直前の歌詞と繋がり
「やるしかない」という言葉が頭に残り続けている
という意味で受け取ることができます

そして、What happen to the words その言葉をどうするかは
it's always you and me ボクたちが決めるしかないんだ、と書かれてあるので
「やるかどうかを決めるのは、自分達自信である」となるわけです
  
Pre-Chorus
I wanna feel alive, when I'm running through my life
Verse1でチャンスを掴みながらも、それを生かせなかった主人公は
失敗によって挫折を味わい、生きた心地がしていません
そして絶望のあまり、生きる上での「生き甲斐」を求めるようになります
もし、手に入れたチャンスを生かせていたのであれば
そのような考えに至ることはなかったでしょう

So help me to ignite, this spark I feel inside
主人公は、自分の胸の中でくすぶる火花を見て
どうにかしてそれを力強く瞬く閃光にできないかと考えます
この歌詞は、色んな解釈のできるところでもあります
例えば、自分の才能を開花させたい、とも取れますし
自分の才能を生かすことができない現状を改善したい、とも取れますし
あるいは直前の歌詞と繋げて、生き甲斐を感じたい、と取ることもできます

いずれにしても、spark (閃光)という言葉を使っているのは
聞き手が自分の輝かせたいものに当てはめられるようにしているのだと思います
  
Chorus ~ Pre-Drop ~ Drop
タイトルにもなっている『Light me up』とは
自分の人生を輝かせてほしい
自分の才能を輝かせてほしい
道に迷って先に進めない自分の足元を照らしてほしい
等の解釈をすることができます
どの解釈をするにしても、重要なのは
Pre-Chorus で生き甲斐を模索している主人公の言葉であると考えていいでしょう

tell me where to go (どこに向かえばいいのか教えてくれ)とも言っていますが
これは「何をすればいいのかを教えてくれ」と置き換えることもできます
   
Verse2
ここの歌詞も解釈の仕方によって意味が大きく変わってくる内容ですが
Verse1 で見せていた挫折した状況が、ここではより深刻なものになったのは確かです
I am fading now, of real life (ボクは消えようとしている、この現実世界を)
と、自殺を仄めかしているようにも受け取れる歌詞から始まるVerse2 では
Misguided by the way they say I have to live
I have to live = 私に生きなければと言う
the way they say = 彼らの言い方は
Misguided = 誤った導き方
という、これまた解釈の分かれる歌詞が書かれており
そこから、本来主人公が向かうはずだった場所へ戻してほしいと訴えています

これらの事から考えられるのは
1.自分の才能を生かす場、認められる場がなくて、自信喪失している説
2.才能があると持ち上げられたが、本当に才能のある人に太刀打ちできなかった説
3.鬱状態に対する不適切な対応をされて自殺を仄めかしている説
等が考えられると思います

このどれもが歌詞全体のテーマとしてぴったり当てはまるので
これは聞き手の受け取り方一つに委ねられることとなるでしょう

そして、Pre-Chorus 以降の歌詞は繰り返しです
ただし、そこに書かれてある言葉の意味は
例えVerse1から続くPre-Choru ~ Chorus ~ Pre-Drop ~ Drop と同じだとしても
言葉の意味は大きく変わってくると思います

  
もう一つの解釈
これは、かなり深読みしすぎている解釈ですが
個人的にこの曲は、現代社会の若者を丁寧に描いている楽曲のように思います
というのが、前述のようにこの曲は歌詞の内容がかなり漠然としていて
明らかに何らかの挫折をしているのに、他の楽曲の様に立ち上がるという事をせず
ただ漫然と状況が改善されるのを、誰かが改善してくれるのを待つばかりです

自分で道を探し、自分で足元を照らし、自分の足で進むのではなく
「Light me up and tell me where to」と、誰に向けるでもなく叫んでいること
他力本願な言葉を無責任に歌っているように見えるところから
私には現代社会における若者の思考を上手くとらえているように思えるのです

それは、鬱病によって自ら数多ある選択肢を消していって追い込まれている状況でも
そうでなくて、夢や目標と言ったものを明確に持っておらず
何かをしたいと漠然と思いながら何もしない人間でも同じで
そういった今どきの若者の姿、それも様々な姿を内包しているのが
この曲なのではないだろうか、と思っています

こうした傾向は、何も日本だけでなく
ネットの普及によって世界中に浸透している考えだと思うので
それゆえに、こうした曲が生まれたのではないだろうか、と私は考えています
201804260043098ef93.jpg
(石黒正数『ネムルバカ』より)

まあ、考えすぎでしょうけれど

  
余談
公式サイトの歌詞が割とめちゃくちゃになっています
公式MVと聞き比べても歌詞が全く違うのですが
特にrepump(歌詞や楽曲の改訂)が行われたという記事も見つからず
なぜ公式サイトでそういう歌詞が出ているのかがよく分かりません

以下、公式サイト → 実際に歌っている歌詞、の並びで

Verse1
A lip of faith → A leap of faith
そもそも「Lip of faith」というイディオムが存在しない
ただし、確かに「Lip of faith」と聞こえなくもないです
でも、いくらそう聞こえたからと言って
「Leap of faith」でないと歌詞の意味は繋がりません

Now haunting me → Haunting me
なぜ「Now」を端折ったのか

That’s only you and me → it's always you and me
そこまで歌詞の意味は変わらないですが……

I am thinking now → I am fading now
Of real life → 変わらず
They say I have to leave → Misguided by the way they say I have to live
これ意味全く変わってしまうんですが
というか、文章としてちゃんと機能していないように思います

後は同じですが
公式サイトの歌詞がここまで違う事には疑問が残ります
一応、公式MVが3:29で、冒頭と最後の数秒を除いても3:20と
Eurovision の規約である1曲3分以内のルールに抵触してしまいますので
Eurovision 本戦では一部の歌詞を短くさせようとしているのかもしれませんが
なんにしても、Eurovision で実際に聞いてみないことにはまだ分かりません
もしかしたら、改訂版で歌うかもしれませんし

ただ、こういうことが多いので


国内予選大会 Krajowe Eliminacje 2018 レビュー記事
http://sheilabirlings.blog33.fc2.com/blog-entry-5680.html

Eurovision 2018 もくじ記事
http://sheilabirlings.blog33.fc2.com/blog-entry-5521.html



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