本当に世界中のThe Voice を見ればEurovisionをより楽しめるのか? 前編

それでは改めて
The Voice 出場者の中で、今年のEurovision の候補者だった歌手たちを見ていこう

The Voice Iceland
アイスランド版The Voice は世界中のThe Voiceの中でも
間違いなく上位に上がるほどにレベルの高い大会となっていた
「いた」というのは、2017年版のシーズン2(2016年末~2017年初め頃)で打ち切られ
2018年版が放送されていない為である
公式Facebookページも2017年3月から更新されていない)
しかし、番組の質の高さだけで言えば、トップクラスであることは間違いない

全体的な歌唱の印象は、ガラス細工のように冷たい、である
心を込めて歌う事よりも、どこか淡々と歌う出場者が多く
熱い歌唱、演技的な歌唱、エモーショナルな歌唱、そういったものは少ない
その代わり、美声で歌うことに美徳を感じていそうな節がある国である
ノルウェー版も近しい空気があるので、北欧圏はそう言うところがあるのかもしれない

英語歌唱が圧倒的に多く
アイスランド語歌唱は少なめ
ただし、稀に歌うアイスランド語の曲はどれも素晴らしく美しい
ちなみに、アイスランド語歌唱はこんな感じ

Ari Ólafsson

ご存知、今年のEurovisionアイスランド代表者となったアリ
濁りなく、とてもストレートで、純真ささえ感じさせる歌唱と
サビでのハイトーンボイスを最大の武器にして歌った彼は
アイスランド版The Voice シーズン1に出場していた歌手でもある


The Voice 出場時、2015年11月時点の歌唱から、下手に方向を変えたりなどせず
そのまま歌唱力だけを底上げしてEurovision代表者になった、という事が
後からThe Voice 動画を見ても逆説的に分かることだろう
ブラインドオーディション後、続くバトルラウンドで敗退したものの
https://www.youtube.com/watch?v=1uXBeo97mQw
あれから2年ちょっとでEurovisionの大きなステージに立てたのは
彼の音楽人生にとって多大な影響を与えたに違いないと言える

ちなみに、アイスランド版The Voice の審査員の一人は Svala は
2017年のEurovision アイスランド代表でもあります

Þórir Geir & Gyða Margrét

二人とも元The Voice Iceland Season2 の出場者で
それぞれソロ歌手としてThe Voiceに出場していた
アイスランドの国内予選大会は、今年は複数の元The Voice 出場者が登場していたが
優勝しないにしても、正直このコンビは国内決勝に上がるべきだったと思う

特に、好青年 Þórir Geir がThe Voice の
ブラインドオーディションで見せた歌唱は素晴らしかった


歌った曲は、英国が世界に誇る、世界最高のロックバンド
Queen の楽曲から『Somebody To Love
Queen の曲は、フレディ・マーキュリーの歌唱のおかげもあって
そのどれもが極めて難易度の高い曲ばかり
その中でもこの曲は、オーディション番組で特によく歌われる曲で
歌唱力の高さを見せつけるために歌われることが多い
そんな曲を、美声で彼は歌っていたんだ

Þórir Geir Guðmundsson とコンビを組んだのは
同じくシーズン2の出場者 Gyða Margrét

The Voice 当時は、まだまだ歌唱が荒っぽく
改善すべき点の多い出場者でしたが
スーパーバトルラウンドで優勝者Karítas とぶち当たって敗退することに
Karítas は後で書きますが、彼女もまたEurovision代表候補として出場します

アイスランド版 The Voice 出場者で構成された
夢のアイスヴォオールスターズ5人グループである
Fókus hópurinn についてはこちらの記事をどうぞ
http://sheilabirlings.blog33.fc2.com/blog-entry-5773.html

The Voice Iceland Season1 もくじ記事
http://sheilabirlings.blog33.fc2.com/blog-entry-4990.html
The Voice Iceland Season2 もくじ記事
http://sheilabirlings.blog33.fc2.com/blog-entry-4443.html


The Voice of Albania 2016
アルバニア版The Voice は、欧州版The Voiceの中でも下位に属する
イギリス版が全体の中心にあるレベルだが
そこからギリシャ>リトアニア>アルバニア>アルメニア
という形でランクが下がってくる
また、アルバニア語歌唱はほぼ皆無であるため(100曲中1曲あればいい方
ウクライナやギリシャ、フランスの様に
その国の国民に愛されている音楽などに触れることは一切できないと言っていい
割と流行りの英語の曲が歌われることが多い
過去のイギリス版でアレンジされたバージョンをそのまま持ってきたり
そうしたことがあまりにも多い国なので、アレンジ力やアドリブ力に弱いのか
それとも、英米が大好きなのか

このブログでは、何度か「アルバニア アイドル養成学校」とネタにしてきているが
リトアニアとアルバニア版は特別10代の出場者が多く
(統計取ってないので実際のところどうか分からない)
それに伴ってか、全体の歌唱力もそれほど高くはない
アルバニアで上位に上がれたからと言って、他国に行ってもBオデ落ちする人もいると思う
とは言え、僅か2年で打ち切られているアイスランド版と違って
6年も続いている為、人気でもあり、出場者が多いことは間違いない
直近2年分(2016~2017)を見た感じ、おそらくだが
初期の頃の出場者に憧れた若い世代が出場し、その世代に憧れた新しい世代が出場し
と、全体の能力が緩やかに下がっていったのではないかと思う
実際、そうやってレベルが下がっていった国は確かにあるし(どことは言わんが
何より、大人から中高年の出場者を見ることは稀であり
アルバニア版はティーンエイジの女子がやたらと多く
アイドル歌手になることを夢見る挑戦者が後を絶たないのだろうと思われる
コーチはプロの歌手であることには変わりないため
このことから、アイドル養成学校的に、若い世代を鍛える番組とかしており
純粋な歌唱力大会ではなくなってしまっていると言える
ただし、それでも魅力的な歌手は多い
(ちなみに、今年から始まったキッズ版の方が、間違いなくレベルが高い)

Artemisa Mithi

アルバニアの歌唱祭にして、ESC国内予選も兼ねた Festivali i Këngës
あくまでアルバニア独自の歌唱祭であるため
楽曲によってはEurovision既定の1曲3分を優に超えることもあるが
この大会に、アルバニア版The Voice シーズン6出場者のアルテミサは出場した

6期アルバニア版は2017年1月27日から放送開始し、同年3月19日に終了
一番の推しは別にいたとはいえ、当時私はアルテミサを激推しくんパパしてました

当時は、正直コーチが合っていなくて
彼女が持っている本来の実力を発揮しきれていたなかったように思うが
The Voice からEurovision 出場までの1年足らずの時間の中で
大幅に歌唱力を上げているのも嬉しかったし
彼女らしい曲をもらえていたな、という印象があった

先に書いたように、アルバニア版は、欧州各国のThe Voice の中でも
全体の歌唱力が低めで、若い出場者がとても多い番組である
若い子たちがあまり多いと、それだけアイドル養成学校の様になるが
その中でも、彼女には才能がある、としばらく追いかけていたものだ
その結果、こうしてEurovision代表としての席をかけて戦えるまで成長して
それだけでもとても嬉しかった思い出

Tiri Gjoci

アルバニア版The Voice シーズン5の優勝者 ティリ
正直に言いますと、私は彼の事がそこまで好きではなかった
同年の優勝最有力候補であったロレンツィの方が
爽やかでカッコよく、歌唱力もとても安定していて
ティリの様に地味で、歌唱力も高くない出場者を応援する理由がなかったからだ

しかし、ティリに対する私のそうした評価は、回を重ねるごとに変わっていった

少しずつ、ちょっとずつ、歌唱力を高めて行き
ひたむきに努力を続けて、表情も豊かになっていき
同年の出場者の中で最も成長性を見せていた歌手だったのである
決勝戦に上がる頃には、笑顔で歌えるようにもなっていたし
Festivali i Këngës でも笑顔で歌っていて
私は元気そうなティリを見てとても嬉しくなっていた
苦手だと思っていたティリの事を、今ではとても好きな歌手の一人と上げているのです

The Voice of Albania 2017 もくじ
http://sheilabirlings.blog33.fc2.com/blog-entry-4506.html
The Voice of Albania 2016 もくじ
http://sheilabirlings.blog33.fc2.com/blog-category-115.html


The Voice of Armenia 2017
2012年から毎年放送されていたが打ち切り
その後、2017年に復活し、コーチ陣も全員一新するも……
アルメニア版The Voice は、私の中では今のところ
最もランクの低いThe Voice という評価で落ち着いている

とにかく安定しない歌唱力と表現力の弱さが目立ち
同じ英語の曲を選ぶ人が多いという謎もあり
それどころか、能力のある人から敗退していくという体たらく
さすがに決勝に上がる頃には上手い人が残ったが
同時期に放送していた他の国のThe Voice と比べても
ただただ見るのがつらくなるばかりであった

それでもこの国のThe Voiceを見続けたのは
ひとえにアルメニア語曲の多さである
褒めるところはもはやそこしかないが
アルメニア民謡などを歌った人は早々に敗退してしまっていた
参考までに、私が応援していた出場者↓
https://www.youtube.com/watch?v=TvgzwtRnswQ
これで歌唱力微妙な人に負けてノックアウトラウンドで敗退(ありえねえ

ちなみに、私の中でアルメニア人は謎の音楽強豪国で
Eurovision でもグランドファイナルTOP10入りが多かったり
あるいはウクライナや他の国のThe Voice に出場する人も多く
そうした人たちは軒並み激烈に高い歌唱力を見せていた
まさか国内がここまでとは……

Sevak Khanagyan

Eurovision国内予選大会Դեպի Եվրատեսիլ (Depi Evratesil)を経て
アルメニア代表となったセヴァークは
ロシア版The Voice2015 の出場者にして
ウクライナ版The X Factor 2016 の出場者だそうだが

私にとってはアルメニア版The Voice Season4 のコーチ

教え子を優勝へと導くことはできなかったものの
セヴァークはアルメニア国内予選大会で
元出場者とポルトガル行きの切符をかけて戦うことに

Robert Koloyan

元アルメニア版The Voice Season4 の出場者
国内予選大会視聴時、私はあまり評価していなかったものの

改めてThe Voice 出場時の歌唱を見てみると

歌唱力は高いのに、表現力が高くなく
歌唱に迫力が足りていないな、という感想がやはりどうしても出てくる

アルメニア版の悪いところしか書いてないので
良いところも書いておく
というかアルメニア語歌唱の出場者のリンクを置いておく
歌唱力が高い人はちゃんと高いんだ
https://youtu.be/6iu8hGewdVg?t=109
https://www.youtube.com/watch?v=2PQa4UP72m4
https://www.youtube.com/watch?v=BVP38gno53k

The Voice of Armenia 2017 もくじ記事
http://sheilabirlings.blog33.fc2.com/blog-entry-5286.html


The Voice UK
全ての始まり The Voice UK
The Voice の発祥それ自体はオランダだが
当ブログにとってはUK版から入った都合上、全ての基準がUK版となっている
そもそもこのブログは元々、欧州全体ではなく、主にイギリスの番組
とりわけ、テレビ局 iTV の番組をメインで紹介するブログだったため
今でこそ欧州のThe Voice をメインで取り上げているものの
The Voice も最初はUK版から入っていたのである

さて、そんなイギリス版は、シーズン1&2のJessie J 期
放送局がBBCから iTV に切り替わるシーズン5までのRicky Wilson 期
iTV に移行したシーズン6以降の、合計3期に分けることができる

ジェス期は、フォーマットはあるにしても製作スタッフが手探りで始めていることや
元プロ歌手やアマチュアでくすぶってる歌手が多く出場し
そうした歌手が一発逆転を狙っていた節があってか
かなりストイックな歌唱バトル大会となっていた

リッキー期は、ジェス期よりかはだいぶ柔らかくなったものの
コーチ同士の読み合いや、確実にチームを片瀬に行くための策略が多く
純粋な歌唱バトル大会というより、コーチ同士のセンス勝負な節があった
コーチがトレーナーで、出場者がポケモンと考えてもいいかもしれない
出場者、選曲、アレンジ、コーチの面白さの全てにおいて
個人的にはリッキー期が一番面白かったと思う(というかリッキーが好き

iTV 期はフランス版、アルバニア版と同時にBオデ敗退者に対するコメントがなくなったが
英国らしいセンスも健在で、全体の雰囲気がマイルドになりつつ、独特の空気感がある
ちなみに、Bオデ敗退者にもコーチは助言をするのが普通だったが
最近はフランチャイズ元の指示か、どこの国も敗者へのコメントがなくなってきている
一説によると、出場者一人に対して10分以上もコメントしていると(放送時は4分ほど)
1度の収録が6時間~7時間を超える上に(放送時は1時間未満
スタッフ側の負担があまりにも大きいため、敗者コメントシステムを切ったのだとか
もちろん、順番待ちの出場者も同じだけ待たなければならなくなるわけでもあるが
歌うまでの待ち時間があまりにも長く、歌うまでに疲労困憊することが多いため
敗者へのコメントは切ったとも言われている
(この話どこかにあると思うんだけど、見つけたらまたリンク貼りますね)
(確か大会参加者側のリークだったはず)

さて、イギリス版最大の魅力は、歌唱力の高さよりも
選曲センスと楽曲アレンジセンスの高さであると言えるだろう
というか、Bオデまでに3回事前オーディションを挟んでるらしいので
そもそも歌唱力が高い人しかテレビには映らないようになっている
その上で、楽曲を自分のものにして歌う人も多ければ
驚くようなアレンジ、それも原曲破壊ではなく、新しい解釈としての歌唱が多い
そして、欧州各国、どこの国でも歌われない、UKらしい選曲も多く
流行りの音楽を真っ先に取り入れるのもこの国の特徴と言えるだろう

また、入念な事前審査とリハーサルもあって、番組の質は全シーズン通して高く
当たり前だが英語歌唱しかないし、英語でしか喋らない為
とっつきやすさで言えばこの国の右に出るThe Voice は、欧州では他にないし
一人一人の歌詞に込めた思いが伝わりやすい

Liam Tamne

シーズン2のJessie J 期であり
全シーズン中でも熾烈でストイックな歌唱バトルになっていた頃の出場者である
国内予選大会Eurovision: You Decide 2018 ではちょっと緊張気味だったが
The Voice の頃より自然な高音の出し方をするようになっていたと思うし
The Voice の頃は能力の限界ギリギリまで使っていたが
自分の能力の範囲内で丁寧に歌うようになっていたように思う


そんな彼は、非常に安定したハイトーンボイスが魅力であり、最大の武器
まずそもそも地声の歌唱も上手く、地声と高音の切り替えが驚くほど上手い
The Voice と ESC国内予選とを聞き比べてみると
やはりESCの頃の方が声がとても安定しているが
荒々しさの残るThe Voice の頃の方が感情がこもってるようにも思う
しかし、このレベルでも2次予選のバトルラウンドで敗退してしまっていた
The Voice に出場したのは2013年であるから、あれから5年も経っているのか


Jaz Ellington

元The Voice シーズン1の出場者である
当時は準決勝まで勝ち進んだ彼は、クセのないストレートな美声と
ゴスペル歌唱によるソウルフルでパワフルな歌唱が最大の魅力である


しかし、これだけの歌唱力を持っていたとしても
シーズン1全体で言えば太刀打ちできないレベルの歌手がゴロゴロいた
それほどに、Jess期のThe Voice UK は歌唱力レベルが桁違いに高い
ちなみに私は他に、3人応援していた歌手がいたので
彼に関してはそこまでチェックしていなかったが
今こうして改めて見てみると、そのレベルの高さに驚く


Asanda

国内予選放送当時はスゥリーよりも
この曲がUK代表になっていたら面白かっただろうな、とは思っていた
ただ、場数慣れしておらず、歌唱もまったく安定しておらず
自分の曲を上手く歌えているとは思えない為
ステージなれているスゥリーが優勝するのは必然だったとも言える

Asanda はThe Voice 出場者ではないが
同じく当ブログで取り上げ続けている iTV のオーディション番組
Britain's Got Talent 2013 の元出場者である

当時11歳だったから、今16歳か
まだ経験が圧倒的に足りておらず、それが国内予選に出てしまっていたが
Britain's Got Talent に出場してから歌うことを辞めてしまう人がいる中で
彼女はあれから5年間、欠かさず実力をつけてきたのだろう
元々ビヨンセなどの歌手に憧れていたそうなのだから
今年の国内予選の方向性的に言っても、本当にこの道を進みたいのが分かる

BGTは、スーザン・ボイルやポール・ポッツが出場したことで日本でも有名な
世界最高峰のオーディション番組である
通常は歌唱以外にもダンス、マジック、コメディ等々、様々な出場者が挑戦するが
歌唱力大会であるThe Voice や、アイドル発掘番組であるThe X Factor と違い
自分の音楽のみで勝負することのできる大会でもある為
この番組をあえて選んで出場する歌手も少なくない

The Voice UK 2012 もくじ
http://sheilabirlings.blog33.fc2.com/blog-entry-4389.html
The Voice UK 2013 もくじ
http://sheilabirlings.blog33.fc2.com/blog-entry-4167.html
Britain's Got Talent 2013 もくじ
http://sheilabirlings.blog33.fc2.com/blog-entry-2345.html


つづきます
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2Comments

通り酢ガリ  

アルメニアの謎

>ちなみに、私の中でアルメニア人は謎の音楽強豪国で
>Eurovision でもグランドファイナルTOP10入りが
>多かったり
>あるいはウクライナや他の国のThe Voice に出場
>する人も多く
>そうした人たちは軒並み激烈に高い歌唱力を見せて
>いた
>まさか国内がここまでとは……

これホント謎(;・ω・)

セヴァーク自身がロシアヴォイスとウクライナXの出身だし、直近でいえば今年のウクライナのソルブイさんや、2016年のディアナさんとか

ロシアヴォイスも毎年アルメニアからの挑戦者がいるみたいだし、なにより普通に上手い(;・ω・)

ジャマラさんもアルメニアの血を引いているし(ジャマラさんのお母さんがアルメニア人)

謎だ………

2018/05/20 (Sun) 16:47 | EDIT | REPLY |   

シーラ B  

Re: アルメニアの謎

> 通り酢ガリさん
もしかしたら、スタッフが番組作り上手くなかった可能性もありそうですけど
明らか事前審査してない気がするし
それで言っても本当に謎過ぎる
アルメニア国外の番組に出るアルメニア人のレベル低かったらまだあれですけど
みんな上手いんだもんなあ

2018/05/20 (Sun) 22:32 | EDIT | REPLY |   

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