Eurovision 2019 アルメニア代表スルブイの曲をレビューする! ~元ウクライナ版The Voice決勝進出者~

アルメニアのESC2019 代表者と曲を見ていきますよ!!
現在当ブログではEurovision 2019 の各国国内予選大会を見て行きながら
各代表者や、予選出場者のパフォーマンスや歌唱力を楽しむ記事を書いていますが
和訳記事を早急にアップしなければならないという事情も抱えている為
内部選考組は早い段階で全て確認し終えて
国内予選大会を見る片手間に記事を書いていこうと思うので
アルファベット順に、じゅんぐり視聴していこうと思うのです

と言うことで、今回はつい昨日Eurovision で歌う曲が決まった
Srbuk ことスルブイ・サルクシャンの『Walking Out』

元ウクライナ版The Voice出場者で決勝まで行ったスルブイは
昨年12月30日に、Eurovision アルメニア代表として正式に抜擢され
つい先日、2019年3月10日に楽曲がようやく発表された、と言う経緯がある
聞くところによると、楽曲の公募が2019年1月10日まで続いて
結果、300もの楽曲が集まったのだとか http://esctoday.com 参照
その中から、ESCでスルブイが歌う曲を選んだのだそうだ
「歌う人はこの人ですよ」って言うのを前もって発表しているから
作詞家、作曲家、音楽家たち、楽曲を投稿する側も
彼女の歌声を聞いて曲を作るイメージがしやすかっただろうね

さて、楽曲と歌唱に関してだけど
さすが、先にスルブイが代表者になるって発表してるだけあって
楽曲を作った側も、スルブイの事をよく研究しているのが分かる曲
個人的には、スルブイの魅力を引き出させる、極めて質の高い曲だと思った

まず、歌い出しから即、「クセのあるスルブイの歌声の魅力を見てくれ!」
と岩ばかりの構成から、曲を作った側の熱意が伝わってくるよね
イントロがピアノの綺麗なメロディーで、バラードかな? と思わせたところで
Rag'n'Bone Man の『Human』とか、Imagine Dragons の『Radioactive』を彷彿とさせるような
パワフルで、アクが強く、そして毒々しさのある歌唱からスタートしてる
力強いドラムが印象的で、そこにスルブイの歌唱が重なって
でも、力強さではなく、クセの強さで重厚な曲を乗りこなしているというか
かと思えば、サビ前 Bridge ではやわらかく切ない歌い方をして
そして、ラストの方では圧巻の歌唱
本気を出してあらゆる不条理に立ちむかような絶叫
でも、決して乱暴な歌い方って言うわけではなく
段階を踏むように、徐々に力を開放していくように声を張り上げ
そして、全てを解放した後のお手本のように綺麗なシャウト歌唱へと繋げる

The Voice で何曲も歌ったところを見て来たけど
楽曲によっては、いずれかの技を抑えざるを得ない場面もあったはずなのに
まさに、持ってる技術を総動員させて歌うことが出来るっていう
そういう曲として作ってる辺り、作曲者は本当にスルブイの事をよく研究してる

とにかくスルブイの表現力・説得力がものを言う曲
初見時、何とはなしに私は
2017年アゼルバイジャン代表Dihaj の『Skeletons』とかを思い出した
音楽の話をしているのでそれ以外の事は知りません
まあ、一番重なるのは、やっぱりRag'n'Bone Man の『Human』
たぶん、そういうジャンルの曲を歌わせているって言う事なんだろうね
歌詞の中身がなくて、ただカッコ良いだけの曲、って言うわけじゃなく
音楽のパワフルさに負けず劣らず、重たいテーマを抱えている辺りも似てて
ともすれば、こういう曲は歌手が言いたいこと、作詞家が言いたいことが伝わるか
歌詞の中にあるメッセージが伝わるかどうかがとても重要だと思うんだけど
そこは、さすがスルブイ、説得力のある歌唱、魂のこもった歌唱で
この歌詞の世界を音楽と共に、とても上手く表現していると思った

MVと合わせて考えれば
周囲の人間から攻撃を受け続けるスルブイ
だけど、いつまでも耐え続けるのではなく
あるいは自分の世界に閉じこもってやり過ごそうとするのではなく
そうした、我慢するだけの状況から『Walking Out (出ていって)』
立ち上がり、立ち向かうって言う
そういうパワフルな曲であるって言うことが
映像と歌唱を見るだけで一発で伝わってくるという

そして、その映像の中でのスルブイの歌い方
歌唱そのものだけでなく、表情や全身を使った表現
ボディランゲージから感じ取れるすべてでこの歌詞の中身を表現しきっているからすごい

例えば、男性に囲まれてどつきまわされているスルブイだけど
ふらついた先で、別の男性に寄り添ってる瞬間は
スルブイとその男性が恋人関係であるかのように見えるから
ただどつかれているんじゃないって言う、背景の物語が見えてきそうだし
最後のシャウト歌唱からのパワフルな歌唱のところで
男性から攻撃されなくなってる辺りも、分かりやすいよね

意味深なMVの作りが丁寧なのも良いね
楽曲の構成、盛り上げ方から、スルブイの歌唱に至るまで
多くの部分で「お手本のような上手さ」みたいなものが見えてくる
ありきたりとか、量産型ESCソングって言いたいわけじゃく
まず大前提として、歌詞の中身を伝えられるかどうか、そこを一番に考えていて
それゆえに、奇をてらったような破壊的な音階運びとかをするのではなく
王道な構成で聞きやすく耳に入りやすくしているって言う印象がある

そして、それは意味深なモノクロのMVにおいても同じな気がするし
だからこそ、このMVはすごく出来が良いと思うよ
歌詞の中身をほぼそのままビジュアルで説明していて
例え英語が分からない人でも、「こういう物語なんだろうな」って言うのが
直感的に分かるような作りになっている

個人的には
そもそも、アルメニアに求めているのがこういう現代音楽らしい曲ではなく
最近の Iveta Mukuchyan みたいに、エスニックを上手く現代風にしているとか
Inga & Anush の『Jan Jan』みたいな、いかにもなエスニック系の曲だとか
あと、個人的に好きなアルメニア人歌手として
Sofi Mkheyan みたいなタイプとかでも良いかなって思っていたから
そう言った意味では、現代風の曲過ぎるところは、何とも言えない
求めていたアルメニアではなかった感がある

ただ、スルブイの新曲は嫌いじゃないし
むしろ、今回のこの重厚感は割と好みだったりする
メッセージ性が強くて、想いを伝える意志を感じさせるような曲ってところが
私は結構気に入っているし

それに、曲も歌唱もとてもパワフルだから
圧倒されて虜になる様な曲だよね
ガツンとハートに響いてくるようなだから
これは、Eurovisionでも決勝戦に上がれると思うんだ


と言うことで、和訳記事はその内書くとして
今回はこの辺りにしておこうと思う

次 >> 歌詞解釈と解説
http://sheilabirlings.blog33.fc2.com/blog-entry-6344.html

Eurovision 2019 もくじ記事
http://sheilabirlings.blog33.fc2.com/blog-entry-6210.html
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