ESCフィンランド国内予選大会 Uuden Musiikin Kilpailu 2019 レビュー記事

今更ながら、フィンランドのESC国内予選大会を見てきます!!
今年はもう国内予選大会を見る時間がないと以前書きましたが
Eurovision Song Contestのフィンランド代表記事を書こうと調べてみたところ
比較的記事にしやすく、視聴時間も短い大会になっていたようなので
ここは、出場者紹介も兼ねて、国内予選を見ていくことにしました

毎年ユーロビジョン代表者を、2012年から国内予選大会
Uuden Musiikin Kilpailu で決定しているフィンランドは
今年で8年目になる同大会を今年も開催していたようです
ただし、例年のように、複数の出場者の中から代表を決めるのではなく
昨年のSaara Aalto がそうであった様に、先に出場者を内部選考によって決定し
UMK では、ESCで歌う曲を視聴者が選ぶ、という方式を選んだようです

以前のような、通常の国内予選大会
つまり、複数人の代表候補の中からESCフィンランド代表を決めないのは
その方式で2015年~2017年の3年間、ESCで準決勝敗退にとどまり
しかし、Saara Aalto は見事に決勝進出を果たしたから
今年もサーラの時に倣って、同じ形式を選んだのでしょう

ということで、まずは内部選考によって決定した代表者がDarude
Ville Virtanen こと Darude はフィンランドのDJですが
彼は世界的に尋常じゃなく有名なDJでもあります

とりあえずこの曲聞けば分かる

歌手やミュージシャンの中には
アーティスト本人の名前すら覚えてもらえていないどころか
曲のタイトルすら覚えられていなくても
聞けば「知ってる!」となる名曲も存在していて
特に、歌のないインスト系でそういう曲が多いと思うのですが
(クラシック音楽なんかは、特にそういう曲が多いよね)
さらに言えば、曲の中のサビの部分だけだとか
ラストのほんの一部だけが独り歩きしているパターンもあって
(15分あるチャイコフスキーの『1812 Overture』最後の1分間とか)
ダルードの『Sandstorm』もその類と言ってもいいかもしれません
(ちょっと失礼な話だけどね)

ただし、彼はDJなので、あくまで楽曲製作と現場での音楽担当
ステージ上で歌うのは、別の人が担当します
そして、ステージで歌うのが、Sebastian Rejman
セバスティアンは The Giant Leap というバンドで
ボーカル兼ギタリストをしているらしい
彼もまた、運営側に選抜された出場者になるから
今回限りのユニット、っていうことになるんだろうね

それでは、国内予選で歌った3曲を見ていきましょう
ちなみに、解像度が悪い場合は、歯車マークを推して Laatu で調整です

Release Me

最初の方、ちょっとハラハラしたぞマジで
歌い出しからしばらくの、セバスティアンの歌唱が
推せ勢にも上手くいっているとは言い難く
なんだか音程も声量もガタガタな状態で歌っているようにしか聞こえなかった
ダルードと組んだことで、本来のジャンルとは違う曲で歌わなければならず
それで、上手く歌えていないのかな、と思いもした
あるいは、イヤモニターの調子が良くなかったのかもしれない

でも、サビに入ると、声が綺麗に出るようになって
そこからは全体、そんなに悪くはなくなったよね
パンチがあるかと聞かれると、正直そんなないと思うけども

というか、なんか全体的に、セバスティアンの歌唱が痛々しく聞こえてしまう……
いや、下手じゃないとは思うし、曲に合わせた歌唱もできていると思うんだけど
歌い出しが上手く行ってないように感じたっていう、その先入観があるからか
ちょっと必死に歌ってるように感じる辺りが、痛々しく感じたという
別に、必死に歌っちゃいけないわけじゃないけども
こういう曲を歌う場合って、もっと音楽に身を任せるような歌い方をすべきで
セバスティアンみたいに、緊張が伝わるような歌唱じゃだめだと思うんだ

ダルードが後ろで、一人で気持ちよくなっちゃってるっぽいのも、どうにもなあ
ダルードぐらい、セバスティアンも気持ちよく歌ってくれてたら良かったんだけど
サビ後のAメロとか、また歌唱がカッチコチに硬くなってしまっているし

ううむ、正直私は、あんまり楽しめなかったな

曲的には、まあ、可もなく不可もなくって感じかな
ESCで歌う曲として見ても、そうでなくても
どっちにしても、作業BGMにはちょうどいいかなって感じの曲だと思った
スタジオ音源だとまた印象が変わるのかもしれないけど
少なくとも、このライブ盤で見る限りでは、声の印象がものすごく薄い
声が小さいとかっていうんじゃなく、曲と一体化しすぎててるというか

Superman

さっきの曲よりも遥かに出来が良い!!
これ良い! この曲すごく聞きやすいしカッコいいし一発で好きになる!
フィンランドと言うよりかは、スウェーデンっぽい感じがするというか
Eurovisionで売れる曲のセオリーの通りに作られたような曲に聞こえるし
何より、観客を楽しませることにのみ特化したような
クラブに来た人が楽しむ為の曲って感じな所がすごく DJ らしくて良い
実際、歌詞の内容も、そう大したこと言ってなくて
とにかくこの空気感を楽しませるための音楽になってるのが素晴らしい

こういう曲の良いところって
とにかく、会場にいるお客さんのために全力を尽くしてるところだよね
例えば、シンガーソングライターなら、自分の主義主張を知って欲しいとか
自分と似たような過去を持つ人たちにエールを送りたいとか
不特定多数に向けず、特定の人に対して歌ってる節があって
その上で、共感できる人は死ぬほど共感して沼にはまるけど
こういうタイプのミュージシャンやアーティストは
特定の人じゃなくて、もうマジで全力で目の前にいる人の為に歌うから
いや、別にどっちかが優れている、とかっていうわけじゃないんだ
短距離走と長距離走の選手の違いみたいなもんだから、言ってしまえば
でも、だからこそ、人をハッピーにさせようとしてる彼らのパフォは
何物にも代えがたいほど輝いているように見えたよ

ステージの後ろに、巨大なハートのモニュメントがあったり
ラストでハートの形を手で作って見せたり
お客さんのために歌ってる感が強くてすごく良かったよ

そういった意味で、セバスティアンの歌唱が特に輝いてるのが良かった
最初の曲は、セバスが歌い出しで安定しなかったのもあってか
挽回しようって自分の事しか考えずに歌ってたのに対して
こっちは、ちゃんと心がお客さんの方を向いている気がしたからね

音楽的には、でもまあ、アクもクセもなく、ひたすら耳触りが良い感じだから
ESCに出たらすぐに忘れられそうなほど薄味ではあるかな
でも、頭空っぽにして聞くことができるし
本当にリズムに乗って楽しむことに集中できるから良いと思う
私はかなり好きだよ、この曲

しかもダルードの『Sandstorm』が微妙に入ってるよね
メロディが入っているわけじゃないんだけど
2分辺りから、聞き覚えのある電子音が入ってくるから
『Sandstorm』が好きな人、ダルードのファンにとって、嬉しい演出になってると思った

いやあ、最初の一曲目でこの番組、どうなるのかって心配になったけど
2曲目で流れが変わって良かったよ
ということで、次はラスト1曲

Look Away

今度は静かに情熱を燃やすような曲で勝負か!?
底抜けに明るい2曲目と比べると、今度は一変して、かなり抑え気味な曲
『Superman』は、全体的に音程がやや高めだったのもあってか
歌うセバスティアンが、若干無理をしている感じがあったけども
この曲は、セバスティアンがあまり無理している様には聞こえず
すごくナチュラルな声で、過度に力を入れすぎずに歌えていると思った
音楽に対する歌唱の滑らかさも、3曲の中ではトップクラス
あるいは、この声がセバスティアン本来の歌唱なのかも?
特に、声を伸ばす時の気持ちよさと言うか
本人が気持ちよく歌えているのが伝わってくる歌い方って感じがするね

音楽的には、ダークな雰囲気が漂いつつ、やや地味な印象がある
カッコいい曲だとは思うんだけど、特に、サビが抑えすぎに感じるかも?
2曲目があまりにも票狙いな曲過ぎたから
この曲には深みがあるような気がしてくるけども
どうかな~、サビでいまいちカタルシスを得られないんだよなあ~

曲が始まって、Aメロからずっと抑えて抑えて、抑え続けて
曲も歌唱も徐々に盛り上がっていって
さあ、これからパワフルな歌唱が始まるぞ! って思ったところで
だけど、サビで溜めた分の爆発が来なかったから、肩透かしを食らった気分になる
溜めるに溜めたんだから、その分の情熱は爆発させてほしかった気はする

まあ、仮にサビの爆発力を高めていたら
それこそセオリー通り過ぎる曲って感じがしてくるとは思うわけだし
少なくとも、1曲目よりかは良いかなって思うからね

ただ、音楽的にはこっちの方が好きかもしれない
こういう、夜中に聞くとトランスできそうな音楽と言うか
歌唱がもう完全に曲の邪魔をしていなくて
音楽と一体化しているかのような歌唱
歌声までもが楽器の一部って感じがするところは、私は好きだな
Eurovision向けではないかもしれないというか
明らかにユーロビジョンで活躍できる曲と違うけども
好みの問題で普通に好き

結果発表
さて、ここでの結果発表は
国際審査員票と視聴者票の合計で決まったようだ
ちなみに、国際審査員の中には
ESC 2017年のノルウェー代表JOWSTや
ESC 2013年優勝のデンマーク代表Emmelie de Forest の他に
wiwibloggsの編集長 William Lee Adams 氏が英国審査員として参加してたらしい
ウィリアムさんが国際審査員として招かれてるとかすごいな……

と言うことで、結果を見ていこう
出場者一組しかいないわけだし、結果の数も少ないから
もう一気に全部見てしまいます

3位 Release Me
審査員票70点 視聴者票19点 合計89点
2位 Superman
審査員票74点 視聴者票73点 合計147点
1位 Look Away
審査員票96点 視聴者票148点 合計244点

と言うことで
ダルード & セバスティアンのコンビがEurovisionで歌うのは
『Look Away』に決まり!

あ~~~~~~
これ結構、迷うような結果だったな
個人的には『Superman』も捨てがたいというか
むしろ、『Superman』の方が良かったとさえ思っている
仮に『Superman』が選ばれていたら、たぶん、ぼろくそに言われてるんだろうな
曲がダメだったわけじゃないんだけど、ありきたりすぎるというか
どこにでもあるような曲っぽ過ぎて、ESCでも活躍できなさそうだし
オーソドックスな曲過ぎて、個性がほとんどないような状態と言うか
だけど、それでも私は『Superman』の方が好きだったかも
すごくシンプルで分かりやすく聞きやすいからね
それに、何よりダルードの代名詞でもある『Sandstorm』っぽい音も入ってたからね

ただ、『Look Away』が勝つのも分かる
実際、『Look Away』もすごく良かったもの
『Superman』よりかは、ちょっぴり王道から外れているわけだし
曲も、『Superman』ほどは軽くないし、クールにESCに参戦するって感じになるよね
『Look Away』を聞いた後だと、『Superman』がチープに聞こえてしまうし
まあ、こうなって良かったのかもしれない

ちなみに、全部で8人いる国際審査員
全員が『Look Away』に満点評価を入れていて
かつ、視聴者票も『Look Away』がぶっちぎりトップだったみたい

全体の感想
と言うことで、フィンランドの国内予選はこんな感じで進んだんだね
しかし、正直に、しょ~じきに書くと、去年ほどではないと思ったし
全体的に、チープとは言わないまでも、しょっぱい大会だったなと思ったかなあ

記事の冒頭でも書いたように
フィンランドはここ数年、ESCでの準決勝攻略ができていなかった
3年連続で準決勝敗退で終わってしまっていたところで
サーラ・アールト一人に対して3曲発表させて、視聴者に曲を選ばせるという
まさに、今回やったのと同じ流れで準決勝が行われていたけども

この形式は、サーラだから上手くいっていたんだな、って改めて思う
サーラの時はプロダクションがまずものすごく上手かったからね
歌詞の内容もそうだし、ステージの見せ方含めて
あらゆる面で3曲共に、サーラが100%関わっていたし
ステージングなんか、だって、3曲ともダンスや舞台装置全てに意味があったもの
The X Factor UK でサーラのことを見てた頃から思ってたけど
サーラは本当に舞台で自分を表現する能力が圧倒的だったからね
(番組を通して、そういうことができるように成長していったのが大きい)

サーラのステージングと比べると
ダルード(feat セバスティアン)がメインは見せ方があまりにもDJすぎて
大会自体がこじんまりとして地味に見えてしまった
そりゃ、サーラがすごすぎるから、比べるべきではないだろうし
そもそもジャンルが違うんだから、そうなるだろって感じだけど

あれだ、ちょうど Britain's Got Talent に出てくるDJたちに近い気がする
動けない DJ を何とか動かして派手にさせよう、動きを作ろうって感じとか特に
https://www.youtube.com/watch?v=hMa0CwtKxZU

とはいえ、3曲分、これだけ色んな工夫をして観客を楽しませようとしてるのは分かるし
そういった意味では、ユーロビジョン本番での活躍ぶりも期待できると思うよね

歌詞和訳
http://sheilabirlings.blog33.fc2.com/blog-entry-6380.html

Eurovision 2019 もくじ記事
http://sheilabirlings.blog33.fc2.com/blog-entry-6210.html

サムネ
https://fi.wikipedia.org/wiki/Uuden_Musiikin_Kilpailu
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