Eurovision 2019 キプロス代表 Tamta の『Replay』 和訳・歌詞解釈と考察

全て私が仕組んだことでも あなたが望むんだもの しょうがないよね 
だから、繰り返し繰り返し愛してあげるの 何度も、何度も、何度でも
 
ESCにおけるキプロスは、この15年近くの間、ほとんど良い成績を出せず
準決勝で敗退することや、決勝進出をしても下から数えた方が早い順位ばかりでした
しかし、ESC 2018 のキプロス代表として出場した Eleni Foureira と、楽曲『Fuego』は
それまでの悪い流れを完全にぶった切るどころか、空前の大ヒットを巻き起こし
さらには歴代代最高順位である、初の準優勝を果たしていました

さて、優勝者よりも、一層強い注目を浴びてさえいたキプロスは
その成績ゆえに、今年の活躍ぶりを誰もが期待していたました
そうした中で、代表として抜擢された Tamta が歌うのは
『Fuego』の製作チームが手掛ける2作目『Replay』

さすが、プロデューサーの Alex Papaconstantinou を筆頭に
エレーニの『Fuego』とほぼ同じ作曲チームが参加しているだけあって
ダンサンブルでキャッチーな音楽に、謎多き歌詞「808」と
楽曲の雰囲気から、転調のタイミング、歌唱の流れに至るまで
完全に『Fuego』の作風を、そのまま踏襲している様な曲です
歌詞の内容に関しても、やはりダンサンブルな曲として作られており
歌詞の内面に着目するのではなく、あまり深いことも考えずに
ビートを感じ、音楽を楽しむことに重点を置くべき曲である、と言えるでしょう

ただし、『Replay』と『Fuego』には、決定的に異なっている個所があります
それは、『Replay』の歌詞には物語性がある、と言う点です

もくじ
歌詞和訳『Replay (繰り返す)』
歌詞の内容について
歌詞解釈と解説
 - Verse1
 - Pre-Chorus
 - Verse 2 & Bridge
 - Chorus
謎の歌詞「808」について
 - 伝説のドラムマシン『TR-808』
 - 歌詞の中での意味合いとしては?
もう一人の『You』
楽曲レビュー

公式MV


歌詞和訳『Replay (繰り返す)』
Verse 1
You've got a problem, 2AM I'm in your head
問題が起きたのね、午前二時 私はあなたの中に
Let's just be honest tonight, yeah
一緒に素直になりましょう 今夜
Only I can solve it
私だけが解決できること
You're twisting, turning in your bed
あなたはベッドでのたうち回り
Them sheets need my body tonight
シーツは今夜 私の体を求め

Pre-Chorus
That's when you call me, that's when you call me
それが あなたが私を呼ぶ時、あなたが私を呼ぶ時
Say you're feeling lonely
あなたが孤独を感じてるって言う
Early in the morning, early in the morning
朝早く、朝早くに
Time is moving slowly
時間はゆっくりと進んでいく
We keep it undercover
私たちだけの秘密のままにしましょう
I know you miss the taste
あなたが「味」を恋しがってるって知っている
My heart beats like an 808
私の鼓動は808の様

Chorus
You need my love on replay
あなたには私の愛を繰り返す必要があるね
Replay, replay, replay, yeah
繰り返し、繰り返し、繰り返し
You need my love on replay
私の愛を繰り返す必要があるの
Replay, replay, replay, yeah
何度も、何度も、何度でも

Verse 2
You're stuck on me darlin'
あなたは私の虜よ ダーリン
Like a love song on repeat
お気に入りのラブソングのように
Yeah, you've got a problem, alright, yeah, yeah
ええ、あなたは問題を抱えている、確かにね
And I know I'm the one to blame
私に責任があるってことも分かってる
Because I make you scream my name
だって 私の名前を叫ばせたのは私だもの
And baby, I'm all in tonight, mmm
そして、私は今夜 一晩中いるよ

Pre-Chorus
That's when you call me, that's when you call me
それが あなたが私を呼ぶ時、あなたが私を呼ぶ時
Say you're feeling lonely
あなたが孤独を感じてるって言う
Early in the morning, early in the morning
朝早く、朝早くに
Time is moving slowly
時間はゆっくりと進んでいく
We keep it undercover
私たちだけの秘密のままにしましょう
I know you miss the taste
あなたが「味」を恋しがってるって知っている
My heart beats like an 808
私の鼓動は808の様

Chorus
You need my love on replay
あなたには私の愛を繰り返す必要があるね
Replay, replay, replay, yeah
繰り返し、繰り返し、繰り返し
You need my love on replay
私の愛を繰り返す必要があるの
Replay, replay, replay, yeah
何度も、何度も、何度でも

Bridge
And I know I'm the one to blame
私に責任があるってことも分かってる
'Cause I make you scream my name
だって 私の名前を叫ばせたのは私だもの
Baby, I'm all in tonight, mmm yeah
ねえ、私は一晩中いるよ
That's when you call me, that's when you call me
それが あなたが私を呼ぶ時、あなたが私を呼ぶ時

Pre-Chorus
That's when you call me, that's when you call me
それが あなたが私を呼ぶ時、あなたが私を呼ぶ時
Say you're feeling lonely
あなたが孤独を感じてるって言う
Early in the morning, early in the morning
朝早く、朝早くに
Time is moving slowly
時間はゆっくりと進んでいく
We keep it undercover
私たちだけの秘密のままにしましょう
I know you miss the taste
あなたが「味」を恋しがってるって知っている
My heart beats like an 808
私の鼓動は808の様

Chorus
You need my love on replay (You need my love)
あなたには私の愛を繰り返す必要があるね
Replay, replay, replay, yeah (Yeah, yeah)
繰り返し、繰り返し、繰り返し
You need my love on replay
私の愛を繰り返すの

英語歌詞参照元
https://genius.com/Tamta-replay-lyrics

歌詞の内容について
『Fuego』は、ビートを感じて、ダンスさせることを目的としている側面が強く
その為に、徹底的に物語性や意味のある言葉が排除されていました
それでいて、同時に、「Fuego」や「ペリカン」など、意味深な言葉を置き
「あの言葉の意味とはいったい何だろう?」と言う疑問を残すことによって
ある種、サブリミナル的に「気になる曲」と思わせることで
キャッチーさに拍車をかける、と言う手法がとられていました
それゆえに、歌詞の内容はシンプル極まりないにも関わらず
あまりにもシンプルゆえに、逆に難解な歌詞に思えるような曲でもありました

ところが、『Replay』の歌詞は全くの逆です
『Replay』の歌詞に書かれてある言葉には意味があり
滑らかに文章へと連なっていき、一つの物語を構成しているのです

それゆえに、難解さを極めたような曲であった『Fuego』とは違って
最初から最後まで、歌詞の内容が理解しやすいように構成されています
また、『Fuego』における「ペリカン」のように、謎の言葉「808」が出てきますが
「ペリカン」よりかは遥かに分かりやすく内容が理解できる状態でもあります

改めて、この曲の内容を要約すると
主人公を求め過ぎるあまり、禁断症状が現れ苦しんでいる「あなた」と
自分の虜になっている「あなた」を、繰り返し繰り返し
何度も何度も愛し続ける主人公の姿が描かれた歌です

二人の関係は、本来はあってはならないものの様で
「あなた」は何とか想いを断ち切ろうとするのですが
にもかかわらず、「あなた」の苦悩を完璧に理解した上で
主人公は「二人だけの秘密にしましょう」と、関係を持ちます
病的に恋焦がれて苦しむ「あなた」の姿を眺めてつつ
最高のスリルを味わいながら胸をときめかせ、悦に浸り
その上で、何度も「あなた」を愛する主人公の姿は、魔性そのもの

音楽の力強さと相まって、二人の間に立ち上る炎も激しいはずですが
ダンサンブルな音楽ゆえの、リズム感の心地よさに隠れてもいる辺り
愛の激しさは歌詞の中の二人だけの秘密

今回は、そうした曲を紐解いていきます

歌詞解釈と解説
Verse 1
午前二時、「あなた」は問題が起きて目を覚まします
ふいに、頭の中に主人公の姿を思い浮かべ
主人公が欲しくて欲しくてたまらなくなったのです

「You're twisting, turning in your bed (あなたは捻る、転がる、ベッドの上で)」
「Them sheets need my body tonight (シーツが私の体を求めている)」
直接的な物言いをすれば、自慰行為にふけっている、とも読み取れる歌詞で
「あなた」は何とか、昂る気持ちを解消しようと、もがき、のたうち回るのですが
どれだけ主人公の事を想っても、シーツの中に主人公の肉体を求めても
そこに、彼女がいるわけではありません
一人遊びでは、「あなた」の心が満たされることがないのです
これが、冒頭の「You've got a problem (あなたが抱えている問題)」で
そして、それを解決できるのは、「Only I can solve it」主人公だけなのです

Pre-Chorus
午前二時に目を覚ました「あなた」は、早朝だろうと関係なく
孤独を感じている、と主人公の事を求めます
それが、「あなた」が主人公を呼ぶ時です

どうやら二人の関係は、本来あってはならないものの様で
主人公は「We keep it undercover (私たちの秘密にしましょう)」と囁きます
主人公と肉体関係を持ってはならないからこそ
手を出さないように、「あなた」は独り、ベッドの中で自慰行為をするわけで
ここでの苦悩も、Verse1 の「problem」の一部でもあります

ところが、主人公は「あなた」のことを挑発します
午前二時から眠ることができず、悶え苦しんだ結果なのか
「あなた」は早朝から「孤独を感じる」と主人公のことを求めるのですが
その理由が、「I know you miss the taste」
「あなた」が主人公と愉しんだ夜(の味)を忘れられないと知っていて
その上で、「今からの時間は、二人だけの秘密にしましょう」と囁くのです
そして、その最高のスリルを前に、主人公は胸の鼓動を速めます

Verse 2 & Bridge
Verse1 から Pre-Chorus、そして Chorus の流れだけでは
「あなた」のために、言いなりになっている主人公、と言う解釈もできますが
そうではなくて、主人公が「あなた」をコントロール下に置いているのです
そのことを決定づけるのが、Verse2 の歌詞です

「あなた」が主人公のことを想うあまり叫んでいる事
主人公と関係を持ってしまい、「あなた」が苦悩している事
「I know I'm the one to blame, because I make you scream my name」
「ええ、全部わかってるわ。だって、私がそうさせたのだもの」
私が「あなた」に私の名前を叫びたくなるように「おあずけ」したし
このドロドロとした関係に引きずり込んだのも私だって分かっている
そう歌っていることから、主導権は主人公にあることが分かるかと思います

「And I know I'm the one to blame (私が責められる人間だって分かってる)」
しかも、主人公は人目をはばかる行為をしている自覚があります

その上で、主人公は
「You're stuck on me darlin' (あなたは私に釘付けよ ダーリン)」
「And baby, I'm all in tonight (私は一晩中いるからね)」と、さらに挑発をします
そして、「Like a love song on repeat (繰り返し聞けるラブソングのように)」
と、例えている辺り、どうやら非難されるべきことだと分かっていながらも
こうした関係が、まっとうなものだとも思っているようです

Chorus
苦悩する「あなた」に対して、主人公は優しく語り掛けます
「You need my love on replay (あなたには私の愛を繰り返す必要があるわね)」
「we need (私たちには)」ではなく、必要としているのは「You」です

あくまで、「あなた」が必要としているのだから、これは束縛ではありませんね
たとえ、全て主人公が仕組んだことでも、問題を抱えてるのは「あなた」で
主人公は苦しむ「あなた」の姿を眺めて、慈愛の心を持って愛してくれるのです

繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し
何度も、何度も、何度も、何度でも

謎の歌詞「808」について
「My heart beats like an 808 (私の鼓動は808の様)」と言う
本作中、『Fuego』のペリカン並みに脈絡なく出てくる謎の言葉ですが
今のところ、「808」とは、1980年に発売された伝説のドラムマシン
「Roland TR-808」のことを指している、とする説が最も有力の様です

私も、歌詞の中の「808」は、「Roland TR-808」のことで良いと思っていますが
方々での説明では、単に「注釈)TR-808のこと」程度にしか書かれていないので
ここでは、私なりの解釈を交えて、808の正体を明かしていきます

伝説のドラムマシン『TR-808』
TR-808 がどういった機械なのかは、英語が分からなくても
https://www.youtube.com/watch?v=KC7UaUD5rEA
こちら↑の動画を眺めていれば、直感的に分かるかとは思いますが
動画内でドラムマシンと呼ばれているように
楽器の種類から、ピッチや音の長さ、リズムの速さなどを選択、操作し
ドラムの音色を電子的に作り出し、好きなリズムでループさせる機械の様です
1980~1983年の、わずか3年間しか製造されなかったこのドラムマシンですが
Whitney Houston の『I Wanna Dance With Somebody』から
果てには、ピコ太郎の『PPAP』のカウベル音などでも使用されているほど
世界中の様々な音楽で使われ続けている、伝説的な機械なのだそうです
ちなみに、ホイットニーの曲が一番参考例として分かりやすいと思います
(イントロの音色ほとんど全てTR-808によるものっぽい)

ほぼ全ての一般人からすれば、初めて聞く名前の機械でしょうけど
少なくとも、この曲を作った Alex P が知らないわけがないと思うので
意図して TR-808 を歌詞の中に入れたのだと思われます

では、歌詞の中での意味合いとしては?
ここからが本題ですが
「私の鼓動はドラムマシンTR-808の様」と言われても
普通に考えても、あまりピンとは来ないことでしょう
「ドラムマシンのビートに合わせて鼓動が速まる」と考えることもできますが
それでは、わざわざ TR-808 を選んだ理由が分かりません
肝になっているのは、TR-808が自分の操作で音を鳴らす機械である、と言うことです

この歌詞の主人公は、「あなた」とのスリリングな関係を楽しんでいる節があり
かつ、繰り返し、繰り返し、「あなた」との関係を楽しむ為に
「あなた」を自分のコントロール下に置いているように見えます
ともすれば、主人公は自分の好きなタイミングで、胸を躍らせることができるわけで
つまり、ドラムマシンのように、胸の鼓動を、自在に好みのテンポに変えられるのです

また、TR-808 のことを指しているとした場合
「同じリズムを繰り返すことができる=「Replay」ができる」と言う解釈もできますし
単純に、ドラムマシンの様に鼓動が速まる、と言う解釈もすることができると思います
その場合、「Replay」ではなく「Repeat」だとは思いますが

結局のところ、ソースも何もあったものではなく
公式的に「こういう意味だ」と言われているわけではないので
こじつけ以外の何物でもありませんので、参考までに、と言うことで

ただ、まあ
もしかしたら『Replay』の中でも使われているかもね、TR-808

もう一人の『You』
ほとんど余談のようなものですが
「You」をこの曲に対する「聞き手」に置き換えると
Tamta の曲にドハマりして、『Replay』を聞かないでいると禁断症状が出る
ついついTamta の名前を読んでしまって、彼女の声を聴くために
何度も何度も繰り返し繰り返しこの曲を聴いてしまう
……ようになるよ~、という想いが込められているように思えます

楽曲レビュー
ESC2019 キプロス代表 Tamta の『Replay』をレビューする!  ~アレックスPの逆襲~
http://sheilabirlings.blog33.fc2.com/blog-entry-6345.html

Eurovision 2019 もくじ記事
http://sheilabirlings.blog33.fc2.com/blog-entry-6210.html

サムネ
https://www.youtube.com/watch?v=ESkhPXfl4A0
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